「#ぼくのかんがえたさいきょうのかつげきとうけんらんぶ」170822
ktgk初期を穴があくように見ていた兼堀女の虚しい夢

歴史が緩やかに、しかし確実に歪みを見せている。
白刃隊に属する12人の刀剣たちは歯車の壁に囲まれた審神者部屋でホログラム状の資料を素早く並べ替えるこんのすけの背に並ぶ。
本来なら全刀剣男士に説明して然るべき由々しき事態なのですがと前置きし、一枚の画像を拡大した審神者はこの者が元凶であると突き止めましたと指差す。
――この者?
鬼と揶揄されることもある、見知った異形に個という概念はあるのか。集団とはいえ個の集まりなのだから当たり前か。
第二部隊隊長――和泉守兼定はそんな些細な表現に何故か引っかかった。
「この遡行軍…打刀一体が歴史の歪みの直接の原因だと?」
同じく隊長格の山姥切国広はその場に居る皆の疑問を口にした。たった一体の、なんの覇気も纒わぬ堕ちた打刀が何をしたのか。何が出来たのか。
「ああ、この打刀も勿論討たねばなりませんが、問題はこの者です」
――この者。
遡行軍打刀の背に隠れるように影を落としたその輪郭を認識しようと陸奥守がやや前のめりに覗き込む。
「本来なら表立つ存在ではありませんが、単に認識するに至らない容貌だったからなのかもしれませんね」
森の中の木は隠れているわけではなく、私たちが木を森と認識しているから木という個が見えない。こんのすけが周知のことのように前提として語る。
「はっきり言ってくれ主」
現状を掴みかねる和泉守の言葉に何故か堀川だけが納得と哀傷で誰にも気づかれない範囲に眉間を寄せた。まさか、と。
「見覚えがありませんか。和泉守さん、山姥切さん、……三日月さん」
思わぬ名指しに山姥切の焦点が一瞬バラつくが、並び立つ三日月は顔色を変えず一言だけを発した。
「……ああ」
取り残された和泉守の横顔を堀川は見ようとしない。
「和泉守さん、あなたが助け。山姥切さん、あなた方が命を繋いだ。
この少女が歴史改変主義者です」
和泉守は救い上げた体の軽さを、山姥切は手渡した碗を受け取った時の微笑みを覚えているだろうか。
三日月はどうだろうか。
ただ、確実に。堀川はその面影を確かに記憶していた。
いつか、自分が討たねばならぬ可能性がある存在として。


■メッセージフォーム
内容はご自由に。「見たよ」「いいね」の三文字だけでも救われます。
お返事は こちらでお返ししています。
(※閲覧に要Twitterアカウントなので、お持ちでない場合はその旨お書き下さい))

indexに戻る

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル